文 :ハヤシアキオ 絵 :凹工房
あなたは地下鉄の中で、カフェでオーダーしたものが届くまで、レジの順番を待つ行列で、何を考えていますか? 人は日々、色んな物思いにとらわれます。そんな妄想は果てなく、しかしあなたの日常もまた、とめどない妄想のようなものです。
こんな前置きで、「妄想の地平線」は、2006年1月から、本サイト上で1年間掲載していた歳時記です。
毎月、ハヤシアキオがその月の季節にちなんだ風物をテーマに、原稿用紙三枚分の妄想を書き綴り、凹工房がアヤシイ距離感で挿絵をつけていきました。
そして、12ヵ月分の完成とグループ展参加を機に、この短編集を製本してみることにしました。
目指したのは雑貨的な仕上がりです。筋を追い絵を見るだけなら、ネットでも出来るので、手に取ってみたくなる、そんな付加価値を目指しました。
短編は、バカス入りの目の粗い風合いのある紙でシンプルに中綴じに12組製本し、それを12色の色鮮やかな光沢紙のケースに入れています。 更にそれら12巻をまとめられる厚手の画材紙のケースも用意しました。
開けて開くまでの期待感や本棚に並べたくなるようなオキモノとしての付加価値を演出したつもりです。
期間中は色々な方々に見ていただきましたが、印象に残ったのが、小学校4年生か5年生のある女の子。 彼女が手に取ったのは「朝」というお話。 読み終わった後、「おとうさん、これ面白いよ。買って」
その年齢にしてこれを面白いと思ってくれたことを喜んでいいのか、彼女の行く末を心配した方がよいのか、微妙なところではあります。
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